深い所まで
きてしまったなという印象が、ある。
私と暁さんの関係だ。
私は当初、この関係はそう長続きしないのでは?と思ってたのだ。
だって、愛されると思ってなかったから。
いわゆる欲と欲の満たし合いだけでお互いそこから先に進もうとしたら、何方かがスルリと逃げる関係になる気がしていたのだ。
でも、違っていた。
私はどこかでずーっと諦めてた。
変態性まで持つ、歪んだ私を愛してくれる男という存在を。
諦めの上に、成り立つ生き方をしているから
無理をして身体を壊すことも厭わなかったし
心を許すこともしなかった。
ずーっとずーっと、抜き身の刃のように自分を尖らせて己を守ってきた。
自分を守りながら
いつか壊れることを含め受け入れ諦めてた。
相手の顔色を伺いその顔色次第で私のすることを決める。
相手がしたいことだけをする性行為を受け入れる。
私の欲を蔑ろにし心を蔑ろにしながら
私の壊れる日を待っていた。
まさか、暁さんに包まれることで
抜き身の刃を始めて鞘に収めることができるとは思わなかった。
暁さんは私の変態性を受け入れるだけじゃなくて
諦めの中で傷つき続けてきた私の心をも欲してくれた。
醜悪な心をも慈しみ抱きとめる男が存在することにまず私は怯えた。
そんなこと言ったって、と信じなかった。
それなのに、ぶれず違えず求め続けてくれた暁さんに白旗を上げて
恐々と、だけども明け渡していった。
関係を紡ぎ最初の春に白旗を上げて
2度目、3度目と季節を変えていく中でとうとう私は明け渡してないところがなくなってしまうようだ。
きっと先日の恐慌状態が最後の砦だったのかもしれない。
もう、怖いことなどないのだ。
機嫌を伺い続けずとも、暁さんはそこにいてくれて
心の波こそお互い人間だからあるのだけれども
その波すら愛してくれて
顔色を伺い遠慮をする事などしなくても
私のそのままをきちんと抱いてくれる。
私は、壊れてしまうことを諦めて受け入れなくていい。
壊さないように慈しむことを求めてくれるひとに初めて出会えた。
だから、安堵して私は初めて愛することをできるようになった。
愛おしさまで顔色を見ながらしか、渡してこなかった私が
好きです、を顔色を伺うことなく届けることができるようになった。
そんな人が私のご主人さまだ。
深い深い所まで私を愛してくれる男だからこそ
膝を折り、頭を垂れて従えるのだ。
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