結局、3日間の間に眠れた時間は投薬して眠った時間を合わせて10時間弱で
うち6時間は薬のお世話になって眠った。
新幹線で瞼を下ろしても心がざわつき寝付けない。
そんな状態でいつもの街に向かった。
暁さんを普段は改札の外に出る前の待合で待つのに今回は外で待った。
冷えるのは承知だけど冷やしてでも思考をなるべくクリアにしたくて
暁さんの欲を叶えられない自分を少しでも罰したくて
冷えた日陰しか無い駅のロータリーで待った。
何時もの暖かい顔で迎えてくれるのに笑顔がぎこちない私がいる。
手を差し出されて嬉しいのに嬉しさを表したい私は殻の中で小さく怖がっている。
出して、出して、と泣いている。
外側だけで暁さんに触らないでと私の芯が私を拒む。
きっと気付いてる暁さんは部屋に着くなり着衣のまま、足元へ座るようにすぐ指示を出した。
一月も末になるのに初逢瀬の私達は年始の挨拶をして今回の件を報告する。
態度がおかしくなってから回る私の更なる違和に直ぐに気づく。
「泣きたい時には泣けと言ったろうに」
ソファから降りた暁さんは私をきつく抱き締めて肩口に私の顔を埋める。
「ほら、泣け」
頭をひとなでしてもらうとバラバラと感情が解けた。
声を出して子供のように泣く
子供を、あやすように頭を背中を撫でて
体温を分けるように冷え切った心を温めて卵を孵化させるように温めてくれる
分離して居た身体と心が少しづつ繋ぎとめられていく
わんわん、わあわあ泣いて暁さんのセーターの肩口を涙で汚す。
嗚咽が落ち着き顔を上げようとすると涙を舐め取られる。
「俺の灯里」と言葉で態度でしめされてグチャグチャになって居た心のあり様が少しづつ少しづつ回復する。
暁さんが居ないと泣く事すら侭ならない。
そんな私がやっと、やっと泣く事ができた。
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