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恋愛にも大学生活にも退屈し、うつろな毎日を過ごしていたリョウ、二十歳。
だが、バイト先のバーにあらわれた、会員制ボーイズクラブのオーナー・御堂静香から誘われ、とまどいながらも「娼夫」の仕事をはじめる。
やがてリョウは、さまざまな女性のなかにひそむ、欲望の不思議に魅せられていく…。
いくつものベッドで過ごした、ひと夏の光と影を鮮烈に描きだす、長編恋愛小説。(Amazon より)
若い男の子が買春をする話
といえばそれまでなのだけど
リョウが元からもっている『喪失』したパズルのピースがこの仕事やであった人で満たされはせずとも癒され、肯定されて行く過程は素晴らしいと思う。
そして色とりどりの欲望の形
多少のネタバレになってしまうが…
若い男娼と小汚いおっさんを両方買っておっさんをメインディッシュにする若い女の子
お漏らしが快感のキャリア女性
痛みだけが快楽になる男娼
齢を重ねてなお男娼と交わる老婦人
彼は様々な色の様々な欲望と交わるのにずっとずっと優しい。
否定せず、そこにある女性の女の子を認めた上でその時間だけそれを愛する。
そんな彼に刃を向けたのは『正しさ』だった。
正しさは優しさとは異なるモノなのだという事をまざまざと感じる。
そして、彼の『情熱』は正しさによって一度幕引きがなされるのだった。
セックスシーンの中に隠媚さはあってもいやらしさがないのもこの本の特徴かもしれない。
リョウは女神を抱くかのように女性を抱いているからなのかもと、思う。
IWGPで苦手感を持って以来実は手をつけなかった石田衣良ワールド
続編も読んでみようと思う。