部屋について珍しく?暁さんはお手洗いに向かわれた。
一人部屋に残された私は右往左往。
そして私がトロトロ歩いてたのに待っててくれて我慢させたかもしれない、と申し訳なくなる。
テレビがついていて、朝の情報番組が流れてはいるけどもそれを見るでもなく
コートとストールを外し、お弁当やカバンを棚に収め所在なく部屋でぼぅっと立っていた。
お手洗いから出てきてスーツを脱いだ暁さんが声をかける。
ぎゅむ、と抱きしめられる。
あわあわおどおどとする私。
背中、手、まわせと怒られる。
おずおず、と手を回すとよしよしと撫でられる。
いつも程度、の弱り方だとここで泣いてしまっているのに心の中の氷がまだまだ硬くて頑なな態度が崩せない。
そんなことわかってる、といった感じで温めるように甘やかす暁さん。
お前は、何だ口付け、鼻頭と鼻頭がくっついているような距離で話す。
俺の奴隷、愛する奴隷だから愛奴、わかるかごめんなさい、と繰り返す私を宥め撫でる。
ソファーに掛けられた暁さんのそばに行って良いか解らず逡巡する。
でも、すぐに手のひらをひらひらと招く暁さんに呼ばれる。
何か言いたいこと、あるだろと私に告げる。
悪い子だった自分の反省の弁を述べると、両の頬を抓られる。
そんなこと、じゃないだろ?負の思考に沈む根底の感情を出せとばかりにグリグリと抓られる。
会いたかった、寂しかったポロリと転げる心の氷の一角にほら、と抱きしめてくれる。
抱きしめられて今回、初めて体から力を抜けた。
暁さんの空気も和む。
嗚呼、心から欲してたものがここにある。
暁さんの体温
暁さんの心音
暁さんの肌まだ、頑なで意固地な心は素直に喜ぶ状態には遠いけど
欲しかったものを感じることに集中しようと腕をお腹に巻きつける。
どんなに寂しがっても放してやらないぞそう言って、笑う暁さんに救われる。
少しづつ、氷に亀裂が走り始めた。
暁さんの温度、触り心地、匂いを堪能する。
そんな私を静かに撫でてくれる手は温かくて、宥めるように慰撫している。
着衣のままご挨拶。
もう、頭がうまく回らなくて言葉が出ない。それを素直に伝える。
めくれと声が飛ぶ
一瞬、考えて厚手のタイツと1部丈のインナーを脱いでスカートをめくる。
上も、と言われセーターとインナーをまとめてめくる。
見られる、のが恥ずかしい。
見られる、のが申し訳ない。ああ、まだなのか。まだわたしは泥沼から抜け出てないのかと自己嫌悪に陥る。
そんなわたしに気づいてるのかもしれない、けどそれに構わずわたしを回れ右させる。
ちょうど良いところ、にあるな意味がわからずキョトンとする
前を見ろ鏡がある。
ちょうど良いところ、にあるなまだ、意味が今ひとつわからない。
何度も言わせるなお尻に平手が飛ぶ。
ああ、鏡がわたしを映しているのか。
ちょうど良いところ、にあるな恥ずかしさにすぐ答えられないと乳首をブラから出されて潰される。
はい、と答えると目をそらさないように命じてお尻を平手打ちし、鷲掴み、乳首を捻り潰したりと責めを加える。
爛々、と輝く暁さんの目が鏡に映る。
よく見知った鏡に映る女の痴態より、わたしの目は暁さんの目線や動きを鏡で追う。
この顔が見たかったと、私の中の独占欲が満たされる
この顔は、私だけが見せてもらえる顔。
ゾクゾクと独占欲が私の背中をなぞる。
ショーツは、いつの間にか剥がれてたのか脱ぐよう命じられてたのか床に転がっている。
そんなわたしを追い込むように打たれる。
ギャァギャァと鳴く私に良い声を出せるなと楽しげに打つ暁さん。
それが嬉しくて辛いのに大丈夫と言ってしまう。
暁さんが楽しそうに私で遊ぶ。
その顔は鏡に映る。
その声が私の耳に入る。
この状況が私の存在を肯定してくれる。
暁さんの「愉悦」のための存在になれるのは私にとっての悦びで存在を肯定される許し、の一つだ。
マゾヒズムの性的願望もサブミッシブの従属願望も満たすこの時間は
痛いことをされてるはずなのにとても満たされて幸せになれる時間だ。
少しづつ冷えた氷山をこの満たされた思いが温めてくれていた。
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