暁さんの行為にグニャリ、と崩れる。
暁さんの膝の上、だ。
快感から、ではない安堵からのそれは私の感情の氷山を打ち砕く。
泣く。ぼろぼろ、と泣く。
肩口に顔を埋め兎に角泣く。
手の甲で涙を擦ろうとすると、制される。
これも、俺のモノ舐めとる暁さんに溢れる涙が止まらず、何度も頬を舐められ目尻を吸われる。
私に向ける笑顔がその言葉に嘘がないことを教えてくれる。
流す涙の一滴まで、私を欲してくれる人がいる。
こんなに嬉しいこと、はない。
頭の先からつま先まで、なんて生易しい独占欲ではない
流す涙まで所有されること、に恐怖ではなく狂気でもなく、安らぎを感じたのだ。
涙は血液から色素を抜いたもの、という。
つまり血の一滴まで、暁さんのモノなのだ私は。
そこまで欲してもらえる喜びはなにものにも代えられない。
グスグスと泣く私に、暖かく笑いかけながら
また、こうなったら言え。いくらでも舐めとってやるから。そう告げた暁さんは、眩しいくらいだった。
立て、と告げられる。
立ち上がる私はどこを向いていいかわからずぐるぐるすると
主に尻をむけるのか?と笑うので、暁さんに向き合いあたまの後ろに手を組む。
お仕置き、しないとな。そう告げて、頬を、胸を、背中を、脇腹を、臀部を、脚を撫でる。
加虐嗜好を楽しまれるときの顔、をしてスルスルと指先で掌で撫でていく。
暁さんのモノを大切にできなかったのだから、お仕置きは当然。
痛みが降りてくることを想定し身構える。
身構えてビクつく私の頭を抱えて口付ける。
あたまがパニックになる。
なんで、キスしてくれるの?なんで?なんで?
手を首に回すように指示されるまで動かなかった私を笑いながら見てくれる。
言われるままに舌を差し出し、唾液をためて交換する。
暁さんは私の唾液をのみほし、ほら美味しいと笑う。
その顔には嫌悪の感情など微塵もない。
そうして私を可愛がる理由がわからない。
私は私がやはり大嫌いだ。
でも暁さんは事実、私をこうして可愛がってくれるのだ。
愛奴だから、俺の宝物だからと。
慈しんで、気にかけて、大切にしてくれる人の為にもせめて大切に私を扱わないといけない。
だって、私はその人の所有物なんだから。
私自身、という括りでは多分私は私を大切に出来ない。
でも、暁さんに大切にされている所有物をきちんとケアすることはできるかもしれない。
臆病で怖がりで自分が大嫌いで。
そんな私を丸ごと包むと教えてくれるその人のために
貶めず、傷つけず、慈しむこと、を忘れないようにしようと思う。
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