抱き寄せたまま腕の中に私を埋めて、抱き枕にした暁さんからは寝息が聞こえる。
遠慮して離れようとすると、ぎゅうと捕まえられる。
そのまま私も眠りに落ちてしまった。
久々に感じる安堵感。
ここにいていいんだという肯定感はとても暖かくて
隣で眠る暁さんは、とても愛おしくて
好きな男に抱かれる事は、幸せで。
やっと心の中の氷山は溶解した。
お目覚めになってくっついて
甘やかしてくれる暁さんにじゃれたりして遊ぶ。
したたか眠ったようでお昼が近かった。
お弁当を求められてお出しする。
甘い卵焼き、肉団子を楊枝にさしたもの、おにぎりは昆布と和風ツナ混ぜごはんの二種類。
備え付けのグラスに持参したペットボトルのお茶を注ぎお渡しする。
そして、バレンタイン前なのでとカップで焼いたガトーショコラをお渡しする。
ありがとう、と受け取ってくれるそれを食べてもらえるのが嬉しい。
美味いな、と笑いながら食べてくれるのが幸せ。
私のお料理も製菓も素人レベルは出ない。
それを満足そうに食べてくれる人がいるのはとても満たされる。
二つお入れしたガトーショコラは私に片方分けてくれる。
同じものを二人で頰張り、顔を見合わせて笑う時間は温かくて
次のお弁当も頑張ると思えたのだった。
食後、素直に膝に頭を乗せる。
ソファーに掛けた暁さんの足元に座って甘える。
やっと、何時もの私で甘えられているな…と思う。
私の頭を撫で顎をくすぐる、そんな笑顔の暁さんにあえて嬉しい。
本当にこんなに大切にしてくれる人は他にいなかった。
私が泣きたくても泣けなくて、心のこもらない笑顔が得意で、意地を張ってほんとはヘトヘトなのに見せられない。
そんな可愛らしさがゼロの女をここまで手なづけて、慈しんでくれる。
暁さんに向ける笑顔には心からの楽しさや嬉しさを向けられる。
そう、育ててくれた人がやっぱり私は大好きだ。
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